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夏ばて

 十年前だと、お盆を過ぎる頃には朝晩が涼しくなってきました。最近は地球温暖化の影響か、梅雨の終わり方も夏の終わり方も東南アジアの陽気な雰囲気で、なかなかなじめません。夏ばても、日本的なものからいよいよ変わったタイプに移行している気配がしています。

 本来の日本的な夏ばては、単純に夏の暑さによって体力を消耗して疲れやすくなるものでした。暑さで食欲も落ちますから、涼しい間は分づき米や雑穀を混ぜて食べていた人も、冷麦やそうめんなどのさっぱりしたものをすするのがいいでしょう。また、仕事は午前の涼しいうちに済ませて、午後の暑い時間はゆっくり休んで体力を保ちます。水分は昔ながらの沸かして飲む熱い麦茶が、さっぱりした汗をかかせてくれて胃腸にもやさしいです。

 本来の日本的な夏ばてでは、舌の引き締まり方が弱く、時には舌の縁に歯型が波打っているのが観察されます。漢方でいう脾の気が足りなくなっているので、四君子湯(しくんしとう)を勧めます。白い苔がやや厚めに付いていたら、香砂六君子湯(こうさりっくんしとう)を勧めます。

 新しいタイプの夏ばては、二つあります。舌の苔が厚くびっしりと付いて、毎日のようにこすり落とさないと口臭が気になっていられない、からだの重だるさを強く感じるタイプ。そして逆に舌の大きさが小さく、表面も干乾びたように苔が剥がれ落ちていて口の乾きや手足のほてりを感じるタイプです。

 舌の苔が厚いタイプは、食べ物や飲み物がアメリカ風になって、動物の脂を使った揚げ物や氷の浮いた飲み物・乳脂肪のとり過ぎで、消化しきれなくなった脂が胃腸をはじめ体中について、中国漢方でいう「痰湿」という汚れとなってしまったタイプです。アメリカのインテリ層はすでに動物性脂肪の少ない日本食と有酸素運動とお抱えの精神科医のカウンセリングで、寿命を延ばしつつあります。日本食の老舗の日本人がいつまでもアメリカの間違いから抜けられないのは、恥ずかしいです。藿香正気散(かっこうしょうきさん)を勧めます。

 舌が干乾びたタイプの夏ばては、普段から仕事や活動のし過ぎで疲れ切っています。中国漢方でいう肝腎の陰が虚しているタイプです。ベルトコンベアーの部品のように、人間的なスピードをはるかに越えた動きで、生命エネルギーを枯渇させてしまったタイプです。体だけでなくこころのバランスも崩しますから、いつもセカセカイライラして、悪循環が進むと寝汗をかいたり眠れなくなります。高速機能機械の部品になることが人生の喜びではないはずです。本来の人間のゆったりとした時間を楽しみましょう。天王補心丹(てんのうほしんたん)を勧めます。

 どんなタイプの夏ばての回復にも予防にもお勧めできるお薬が、麦味参(ばくみさん)です。中国のオリンピック選手は、きっとみんな飲んでいるだろうと思いながら放送を見ています。