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2015/05/21
漢方では、女性は7の倍数、男性は8の倍数、この節目ごとに体質に変化が現れると考えます。老化が始まる年齢は、もちろん個人差もありますが、男性では40歳ころとされています。この頃から徐々に体力や気力、性機能などが低下し、様々な不調が現れるようになります。
男性ではその後、48歳頃から排尿機能の衰え、56歳頃からは老化が本格的になります。腰やひざなどの関節の痛み、精力減退といった悩みが増え、また、定年を迎えるなど精神的にも不安定な要素が加わり、不眠やうつなどの症状が現れることもあります。
このような不調は、加齢による「腎」の衰えが大きく影響しています。腎は身体の発育・生殖・老化に深くかかわり、生命エネルギーの源「精」を蓄える大切な臓器ですが、更年期に入るとその機能は自然と衰えます。また、体内の臓器はそれぞれが協力しあって働いているため、腎が弱くなると他の臓器にも影響し、体力や免疫力が落ちたり、性機能が衰えたりといった不調が現れるようになります。
特に老化現象と腎とは深いかかわりがあるため、腎の養生を考えることが大切です。また、「気」「血」の不足、ストレス、生活習慣の乱れなども更年期症状の原因となります。まずは自分の身体の変化を知り、それぞれに合った養生も大切になってきます。
■主な症状
めまい、耳鳴、記憶力の低下、脱毛、足腰の弱り・痛み、性欲減退、性機能の低下、手足の冷え、頻尿、排尿困難、夜間多尿、尿漏れなど
■男性更年期の主な原因
腎は、生命エネルギーの源「精」を蓄え、五臓六腑の根本ともなる大切な臓器。腎とは単に内臓のひとつを指すのではなく泌尿生殖器系、ホルモン系、カルシウム代謝、免疫系などさまざまな働きを意味します。
更年期が始まる40歳を過ぎる頃から腎の機能は徐々に低下。蓄えている精も減少し、体力や性機能の衰え、脱毛、排尿トラブルといった症状が現れやすくなります。加齢に加え、運動の過不足や食事の不摂生、病気による消耗なども腎が衰える原因になります。規則正しい生活を心がけ、腎の養生で更年期の症状を予防するよう養生しましょう。
■おすすめ食材
にんにく、スッポン、ナマコ、アナゴ、エビ、羊肉、ごま、山芋、くるみ、にらなど
■よく使われる漢方薬
八味地黄丸、牛車腎気丸、海馬補腎丸、至宝三鞭丸、参馬補腎丸、精海宝など
■主な症状
疲れやすい、無気力、集中力低下、めまい、動悸、不安感、不眠、食欲不振など
「気」や「血」は健康の基本となる大切な要素ですが、「脾胃」の働きが弱くなる、この気血を十分作ることができなくなってしまいます。
体内の気血が不足すると、五臓六腑の働きが悪くなり、疲れやすい、食欲不振、動悸、不眠といった様々な症状が現れるようになります。脾胃の不調は、不規則な食生活や冷たい物の取り過ぎ、睡眠不足、胃腸の疾患などが原因となります。脾胃に負担をかけない生活で、気血を十分に養うよう心がけましょう。
■おすすめ食材
ユリ根、金針菜、ハスの実、ナツメ、烏骨鶏、もち米、うなぎ、たまご、鮭、味噌など
■よく使われる漢方薬
婦宝当帰膠、十全大補湯、帰脾湯、心脾顆粒、健脾散など
ストレスは更年期症状の大敵。男性の更年期の年代は、責任ある役職に就いたり、定年を迎えたりとストレスを抱きやすい時期です。男性更年期の症状は精神的な要素に大きく左右されることが多いため、こうしたストレスをうまく発散できないと症状が強く出てしまうこともあります。
ストレスを調節し、体内の気をスムーズに巡らせるのは「肝」の役割。過度なストレスが続くとその機能が低下し、気の流れが停滞してイライラや憂うつ、のぼせなどの症状につながります。日頃ストレスを感じやすい人は、肝の働きを高めて上手に発散できるようにしましょう。
■おすすめ食材
春菊、しじみ、苦瓜、セロリ、菊花茶、ジャスミン茶、黒きくらげ、ユズなどのかんきつ類など
■よく使われる漢方薬
逍遥丸、加味逍遥散、開気丸、冠元顆粒、香蘇散など
脂っこい食事や飲酒、運動不足などが重なってメタボ気味になると、体内に「湿熱(余分な水分や汚れ)」が溜まり、「気」「血」の流れを滞らせてしまします。
「湿熱」は換気扇の汚れ、排水溝のよごれ、お風呂場のカビのように頑固で落ちにくい汚れのようなものイメージが体内にたまっているような状態です(恐ろしい ~ )。
このような状態になると、更年期の様々な症状も回復しにくくなり、慢性化につながることもあります。また、脂質異常症や糖尿病といった生活習慣病にもかかりやすくなるため注意が必要です。内臓脂肪が増加するほど、男性ホルモンは低下するそうです。溜まった汚れは早めに取り除き、更年期の症状を回復しやすい健康な身体を作りましょう。
■おすすめ食材
緑豆、小豆、ハトムギ、大根、サンザシ、玄米、ごぼう、ひじき、さば、いわし、きのこ類、ドクダミ茶など
■よく使われる漢方薬
瀉火利湿顆粒、温胆湯、茵蔯五苓散、温清飲、黄連解毒湯など
男性更年期は男性ホルモンの低下によるものでもあります。最近、40~50代の方が60代以上より唾液に含まれる活性型テストステロンの量が少なかったというデータがあるそうです。働き盛りはストレスや心身への負担も多いようですね。漢方薬で腎精を若々しく保ち、更年期に負けない体作りを応援します。